【はつり工事と解体工事の違い】使われる道具・やり方・費用相場

『はつり工事』について解説

建物の解体工事やリフォームを行う際、「はつり工事（斫り工事）」という言葉を耳にすることがあります。
しかし、一般の方にとっては「解体」と「はつり」の違いが分かりにくいものです。どちらも壊す作業には違いありませんが、その目的や範囲、使用する道具はまったく異なります。

はつり工事とは、建物全体を取り壊す「解体工事」と違い、部分的にコンクリートやタイルなどを削る・除去する作業を指します。たとえば、「柱の一部を削る」「壁の表面を整える」「補修やリフォームのために一部を撤去する」など、精密な作業が求められるのが特徴です。

この記事では、はつり工事の意味や解体工事との違い、必要となる状況、使用する道具や施工方法、費用相場までを詳しく解説します。
最終的には、「どんな場面でどの業者に頼むべきか」を理解し、信頼できる解体業者に依頼する重要性をお伝えします。

まず、「はつり工事」という言葉の意味を正確に理解しておきましょう。
「はつる（斫る）」という言葉には、「硬いものを削る・打ち砕く・削り取る」といった意味があります。したがって、はつり工事とは、コンクリート・モルタル・タイルなどの硬質な素材を部分的に除去する作業のことです。

つまり、「全部壊す」よりも「一部を整える」工事であり、繊細さが要求されます。

このように、はつり工事は建物を壊す前の準備・部分補修・仕上げのための専門技術として行われることが多いのです。

では、どのようなときにはつり工事が必要になるのでしょうか。
以下のようなケースが代表的です。

住宅やビルのリフォームでは、配管の入れ替えや壁の再施工に伴い、一部のコンクリートを削る必要が生じます。
たとえば「浴室のリフォーム」「床暖房の設置」「外壁補修」などでは、既存の構造を残しながら一部だけ除去するため、はつり工事が欠かせません。

コンクリートが劣化し、ひび割れや浮きが発生した場合、その部分を斫り取って補修材を充填する必要があります。
構造を長持ちさせるための「部分補修」としてのはつり工事は、インフラ維持にも不可欠です。

水道管や電気配線、エアコンダクトなどを新設・交換する際、コンクリート壁や床に穴を開ける作業が必要です。
この場合も、建物の安全性を保ちながら正確な深さ・範囲で削るはつり工事が求められます。

道路・橋・ダムなどのインフラでも、老朽化した部分を修繕するために「斫り」は日常的に行われます。
特に鉄筋コンクリート構造物の補修では、鉄筋を傷つけずにコンクリートだけを除去する繊細な技術が必要です。

住宅や店舗のリノベーションでは、「段差をなくす」「壁の一部を撤去する」「タイルを張り替える」などの目的で、デザイン変更に伴うはつり工事が実施されます。

このように、はつり工事は部分解体・補修・美観整備のすべてに関わる基礎的な工種なのです。

はつり工事では、削る対象の材質や場所に応じて使う道具や工法が異なります。

手作業から機械作業まで、現場の状況に合わせて最適な方法が選ばれます。

小型のハンマーやチゼル（ノミ）を使って手作業で削る方法です。
精度が高く、細かな部分や狭い場所での作業に向いています。
騒音や振動も少なく、室内や住宅地などでも比較的安全に行えます。

電動工具（電動ハンマー、ハンマードリルなど）を使用し、効率的にコンクリートやタイルを破砕します。
スピードは速いですが、騒音や粉塵が発生するため、防音・防塵対策が欠かせません。

圧縮空気を利用してピストンを動かし、振動でコンクリートを削る工具です。
トンネルや橋梁などの公共工事でも多く使われます。手持ち式でありながら高出力で、コンクリート除去に適しています。

水の力でコンクリートを削る最新の方法です。
超高圧水を噴射して不要部分を除去するため、鉄筋を傷つけずに施工でき、粉塵も出にくいのが特徴です。
環境負荷が少なく、近年は公共工事や再生修繕で注目されています。

床や壁に直線的なカットを入れる場合に使われます。
コアドリルは円形の穴を開ける機械で、配管や設備工事に欠かせません。

はつり工事では、飛び石や粉塵、振動による事故防止が重要です。
作業員は防護メガネ・耳栓・防塵マスクを着用し、周囲への安全管理も徹底します。
また、騒音・振動の少ない工法を選ぶことも、住宅街での工事には必須です。

はつり工事の費用は、施工範囲・素材・工法・作業環境などによって大きく変動します。
ここでは一般的な目安を紹介します。